2005年12月入院中の母を見舞う。
鼻から管を入れられた母がベッドに横たわっている。
母は、起きている間中瞬きもせず私を見つめていた。網膜に私の姿を焼きつけている様であった。 そのような日がしばらく続いた。その頃私は、苦労の多かった母の87年間を、バラの花で表そうとしていた。
細く小さくなって寝ている母をみている時、今の私を撮りなさいと母が言っている様な気がした。
私は生と死の間を撮り始めた。
私を生み、愛し、育ててくれた母に、感謝と敬意をこめてこの作品を捧げる。 遠藤弘志
…という解説に始まる遠藤弘志様の今回の写真展「幽明のオマー
ジュ」は、一作品ごとに「生と死の境」について考えさせられる
ものとなっています。一見、シンプルすぎるようにも思えるその
空間では、静寂に包まれた「何か」が蠢いているような、不思議
な感覚に陥り、被写体にグッと惹きつけられてしまいます。皆様
も一度、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
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